BIRD SONG JOURNAL / Into the Paradise

2019.4.19

 

晴れの合間の、雲のヴェール。

雨の合間の、陽のかさなり。

 

嵐のように激しい風雨に、うねる波間。

頼りないトタン屋根と共に、その荒ぶる自然の轟音におびえていたはずなのに、

いつのまに、あっけらかんと拍子抜けするような青空。

 

緋寒桜の誇り高く強い桃色を忘れてしまった頃、

ふと気づけば、あの甲高い鳴き声の鳥も姿を消していた。

 

やがて訪れる暖かさに、身体と心がほぐれていく季節。

 

眠っていた花たちは次々と咲き始め、

新緑のなか、色彩は踊る。

 

しばらくぶりの虫や鳥が顔を出し、

空と海の青の間に、その歌声が聴こえる。

 

約束してもいないのに、ちゃんとやってくる。

恭しくもある、神様へのあいさつだろうか。

 

季節はすすんでいく。

私たちはどこへ行くのだろう。

 

―うむてぃさえ うりば

あとあさきど なりゅり

してぃや みでぃぐるま

まわてぃ めぐる

 

(想い続けることができたなら

いつになるか わからなくとも

季節が水車の如く廻るように

やがてその報いはやってくるであろう)

 

海の向こうに、ネリヤカナヤと呼ばれる場所がある。

善きものはそこから、来訪すると信じられている。

きっとそれは、私たちがいつか辿り着く、その、

どこか。

 

それは信じるとも覚束ない想い、かもしれない。

でもきっと、それを持ち続ける限りは、少しでも近づけるはずだ。

 

未だ見ぬ、その場所へ。