BIRD SONG JOURNAL / Endings and Beginnings

2019.3.13

3月は別れの季節。
この島では、高校を卒業すると約9割の人が進学や就職のために島を離れる。普段はめったに渋滞など起きない空港や港が、人と車でごった返しになる時期だ。

私も例のごとく高校卒業と同時に島を離れた。少しの寂しさはあったが、それよりも新しく始まる生活への夢と希望で胸が高ぶっていたし、両親を心配させまいと泣かないことを心にきめ笑顔で旅立ったのを今でもはっきり覚えている。

あれから十数年。見送られる側だった私も、今度は見送る立場になった。歳の離れた弟が、進学で島を離れることになり、見送りへ出かけた。他の見送りの人たちに混ざりながら「頑張れよ~」「元気でね~」と叫び手を振る。船上からこちらへ向かって手を振る弟の笑顔が、眩しく切ない。船がゆっくりと岸壁から離れ、弟と私たちを繋いでいた紙テープは次第にちぎれて行く。船の明かりが見えなくなるまで手を振りながら、目頭が熱くなった。

終わりは始まり。旅立った若者たちには、これから始まる新しい旅路を思う存分楽しんでほしい。そして残された私たちは、いつまでもめそめそなんてしていられない。彼らがいつか帰って来た時に「やっぱりシマはいいね」そう思える場所であり続けたい、人も自然も。

 

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