BIRD SONG JOURNAL / 種下ろし

2023.12.26

今日は4年ぶりの種下ろしの日だ。
朝からみな準備に追われている。
種下ろしとは、翌年の豊作を祈願するとともに、1年の締めくくりとして各家庭を踊り浄め、繁栄を祈る行事だ。
私が住む集落では昔、ほとんどの家を回っていたが、今では新築の家を回ることが一般的になってきている。
そして、ここ4年間はコロナの影響により、各家庭を回ることなく公民館のみで行われていた。

係の人たちは新築の家に集まり、おもてなしの準備をしている。みなで会話をしながら料理を作り、味見という名のつまみ食い。

日も暮れたころ、
トントントン、トントントン
耳をすますとチヂン(太鼓)の音が聞こえてくる。

種下ろしの始まりだ。

浴衣を身に纏いチヂンや三味線、唄をうたいながら列をなし、入場してくる。
大人も子供も輪になり踊る。
島唄を唄える人もチヂンをたたける人も三味線を弾ける人もどんどん少なくなっていることを知り、この伝統行事を絶えさせてはいけない。と私は思った。

踊りが分からない人もたくさんいるが、上手な人の見様見真似で楽しそうに踊っている。私もわからない人の一人だ。だが、たくさんの人と踊るのはとても楽しい。島唄の意味を理解するのは難しいが、何とも言えない居心地の良さがある。

踊りの途中で一息入れ、用意したおもてなし料理をみなで楽しむのだ。
油そうめんやてんぷら餅、しぶり汁など島でしか味わえない料理がたくさんならんでいる。

さあ、腹ごしらえも終えたし、2軒目へ行こう!
夜はまだ、長い。

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