BIRD SONG JOURNAL / Calling

2019.8.15

海べりにあるこの場所には、いつも人が集う。

人が人と出会い、またねと別れ、かたちのない思いみたいなものだけが体のどこかにあたたく滲んで残る。
その思いは微風に立つ小さな波のように、少しずつ果てし無いどこかへと広がり、どこからともなく戻ってくる。

そんな繰り返しが、気づけば10年続いていた。
ほんとうに奇跡みたいだなと思う。

どうしてかは、わからない。
きっと人それぞれに集う理由は違うけれど、ここにたどり着く。
そんなエネルギーが、きっとこの場所にはある。
そのことだけは、なんとなく、わかる気がする。

すばらしい、大切な、10年間。
ただただ、ありがとう。

感謝の気持ちを伝える方法をずっと考えていて、たどり着いたかたちは小さな音楽会だった。
いつも見守ってくれている大きなガジュマルの木の下で、夕焼け空に包まれながら。
そんなことが出来たらと思い描くと、いつもこの場所に集う人たちの笑顔ばかりが浮かんだ。
パラダイスストアがこの地でスタートして10年を迎えた7月、
ご縁のある原田郁子さんと伊藤大地さんという二人の素晴らしいミュージシャンが
思いを同じにしてくださり、小さな音楽会は現実のものとなった。

梅雨がなかなか明けず、明けたと思ったら台風がやってきて、
私たちは空模様、海模様にちょっぴり振り回されることになったけれど、
きっとその時を待ちわびたみんなが、同じ気持ちの波を泳いでいた数日間だったのではないかと思う。
ドキドキ、ハラハラ、ワクワク。今思うと、自然の演出だったのかもしれない。

ガジュマルの木の下も、夕焼け空も、今回の演出からは外れてしまったけれど、
海からの風に洗われて集ったぴかぴかの笑顔。
その瞬間が確かにこの場所にあったことを、きっとずっと忘れないだろう。

やさしい歴史が新たに加わり、この場所が多くの人に見守られながら、今11年目を進んでいく。
これまでのように、小さな波になって、果てしないどこかへ
そして、どこか知らないところから。
呼んだり、呼ばれたりしながら。
次はガジュマル。夕焼け。おまじないみたいにつぶやきながら。

ガジュマルの下に立って海を眺めると、いつも同じ気持ちがわいてくる。

「ありがとう、また明日。」

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7月19日のライブに足を運んでくださった皆様、風の強い日に、遠くの方からも駆けつけてくださり、
それだけでとても嬉しかったです。本当にありがとうございました。
6月22日のライブへご参加くださった皆様も、ありがとうございました。
遠く離れた場所からのエールは、とても力になりました。
私たちのたどり着いたかたちが、皆さまにとって良いものであったことを今はただ願っています。
皆様の笑顔や踊る姿、子ども達の笑い声、どれもが鮮明に焼きついていて、私たちはまた歩いてゆけます。
本当にありがとうございました。これからも応援していただけるとうれしいです。

パラダイスストア、パラダイスイン スタッフ一同




photo _ Miyuki Arimura