BIRD SONG JOURNAL / 大切にしたいシマのこころ

2020.9.24

“拝む”とは仏壇などに手を合わせ頭を下げて祈ること、見るの謙譲語。

奄美の挨拶の言葉「うがみしょうらん」。“こんにちは”や“こんばんは”などの意味で、人に合った時や家を訪ねる時に使われる。うがみは拝むと書く。人を敬う心を表した大切にしたいことばの一つ。

旧暦の7月13日、奄美のお盆が始まる。祖母の家には明かりが回転する提灯が設置され、お供え物のお菓子や果物が仏壇の前に所狭しと並ぶ。祖母はお盆期間中大忙し。仏壇へのお供え物は1日4~5回ありそれぞれメニューが違う。私も祖母の炊事の手伝いに行った際、お供えをする前にご飯を食卓へ出そうとしたら「仏壇に供えてから」と注意されハッとしたことはこの先もずっと忘れまい。

送り盆の日、夕方家族が集まりご先祖様をお墓までお送りする。子どもの頃は、小さな提灯を持てることがお祭りのように楽しかった。自分のお墓参りが済むと、祖父に続いて親戚や知人のお墓を周る。宗教も関係ない。

手を合わせて目を閉じると「お久しぶりです、いつも見守ってくれてありがとう」の言葉が自然と心から沸いてくる。祖父母の背中から学んできたのかも知れない。そしてそれが日常で使われる挨拶「うがみんしょうらん」という言葉に繋がっているような気がした。忘れないようにしたいシマのこころ。