奄美を離れて一ヶ月が過ぎた。
いま暮らしているこの街は静かで、冬なのによく晴れていて、
きちんと、日本の四季をなぞるように梅の花も咲き出して、
ヒカンザクラの代りに見惚れては、微かな香りを深く深く吸い込んだ。
椿の木には鳥が歌い、枯れ木の間は冬の風が鳴いている。
ヒュー、 ヒューゥ。
仕事へ向かう道で、水色の空に浮かぶ三日月を見た。
帰り道では、きらきらと瞬くオリオンを見た。
今日はやけに明るいと天を見上げたら、そうだ、もう満月なのか。
と思った日もあった。
そんなことを思いながら暮らしていて、それは奄美での日常と何一つ変わらないことに気がついた。
旅で訪れた人々も、こんな風に自分の内にある「奄美」を時々浮かばせて暮らしているのだろう
と願いながら、奄美を恋しく思いつつ、もう少しだけ、この冬晴れの街を楽しもうと決めた。
帰ったら、じいばあとたんかん狩り。
これも、いま決めた。
ありがとう、冬晴れの街。
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